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高血圧の食事療法

高血圧と食事療法 — まず知っておきたいポイント

高血圧は、放っておくと心臓病や脳卒中のリスクを高める病気ですが、実は多くの方が 生活習慣の改善だけで血圧を下げることができると言われています。その中でも特に効果が大きいのが「食事」です。
食習慣を整えることで、薬と同じくらい血圧が下がったという研究結果もあります。

ここでは、当院の栄養士の食事指導内容をもとに、患者さんが今日から実践できる高血圧の食事療法をわかりやすく解説します。

なぜ食事で血圧が下がるのか?

血圧には、食塩(ナトリウム)・カリウム・体重・アルコールなどの食習慣が深く関わっています。 特にナトリウムとカリウムのバランスは血圧に直結します。塩分を控え、カリウムが豊富な野菜や果物を増やすことで、 体の余分な水分が排泄され、血管にかかる圧力が下がるためです。

また、体重を減らす、アルコールを控える、脂質バランスを改善することなども、血圧を改善する重要な要素です。

DASH食 — 最もエビデンスの強い高血圧改善食

世界的に最も血圧改善効果が高いとされているのが DASH(ダッシュ)食です。
DASH 食は「Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐための食事)」の略で、以下の特徴があります。

DASH食で積極的にとる食品

  • 野菜
  • 果物
  • 豆類
  • 低脂肪乳製品
  • 全粒穀物(玄米など)

DASH食で控える食品

  • 間食・菓子類
  • 赤身肉・加工肉
  • 飽和脂肪(バター・生クリームなど)
  • 塩分の多い食品(漬物、スープ、加工食品)

DASH食の血圧改善効果

DASH食は 平均5.5 mmHg の収縮期血圧低下作用を示すことが研究で明らかになっています。 さらに高血圧の方では 10 mmHg 以上下がることもあります。

低ナトリウムDASH食はさらに効果的

DASH食に加えて1日食塩6g未満を組み合わせると、最大 11 mmHg 以上の血圧低下が得られたと報告されています。 薬と同等か、それ以上の効果を示すこともあります。

1. 減塩 — 高血圧食事療法の中心となるポイント

日本人は世界的にみても食塩摂取量が多く、平均9.7g(令和4年調査)です

。 目標の6g未満には大幅な工夫が必要です。

減塩を成功させる9つのコツ

  1. 薄味に慣れる…慣れるまで2〜3週間は必要です。
  2. 醤油・ソースを直接かけず、つけて食べる
  3. 麺類はスープを残す
  4. 味噌汁・スープは具を多めに汁を減らす
  5. 香味野菜・香辛料・レモン・酢を利用して味にメリハリ
  6. 1食の中で味付けの濃淡をつける
  7. 漬物・塩魚・練り製品などを食べる回数を減らす
  8. 食べる量そのものを減らし、塩分総量を減らす
  9. 食品表示の食塩相当量をチェック
食塩相当量の計算式

食塩相当量(g)= ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1000

目安:食塩1gはナトリウム約400mg

2. 野菜・果物を増やす — カリウムが血圧を下げる

野菜や果物に含まれるカリウムは、体の余分なナトリウムを排泄し、血圧を下げる作用があります。

野菜は1日350g以上が目標

  • メイン料理に必ず野菜をつける
  • サラダだけでなく、煮物・炒め物・汁物にも野菜を

果物は食べすぎ注意

エネルギー過多や糖尿病の方では血糖上昇に注意が必要です。 1日200g(みかん2個程度)が上限の目安です。

腎臓病のある方は注意

腎機能低下がある場合はカリウム摂取が危険なこともあります。 当院医師へご相談ください。

3. 適正体重の維持 — 体重が下がれば血圧も下がる

肥満はインスリン抵抗性や体液量増加を介して血圧を上昇させます。 BMI25未満を目指すことで、5〜20 mmHg の改善効果も期待できます。

BMIの計算式

BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)²

体重減少による血圧改善

体重が1kg減ると、平均1 mmHg血圧が下がると言われています。

4. アルコールを控える

アルコールは交感神経を刺激し、体液貯留を引き起こし、血圧を上げます。

適量の目安

  • 男性:エタノール20〜30mL/日
  • 女性:10〜20mL/日
アルコール量の換算例
  • ビール500mL(中瓶1本)= エタノール20mL
  • 日本酒1合180mL= エタノール20mL
  • ウイスキー60mL= エタノール24mL

5. 脂質の質を整える — 地中海食の考え方

DASH食と同様に、オリーブオイルや魚に含まれる不飽和脂肪酸を多く摂る 「地中海食」も血圧改善に効果があります。

  • オリーブオイルを油の中心に
  • 魚料理を週2〜3回
  • 赤肉より鶏肉・魚・豆類を中心にする

6. その他の栄養素に関する知識

マグネシウム

野菜・ナッツ・海藻に多く、血圧をわずかに下げる作用があります。

食物繊維

全粒穀物・野菜・豆類に多く、1〜3 mmHg 程度の血圧降下効果が示されています。

葉酸

サプリメント摂取での血圧低下が報告されていますが、一般の方は食品から摂れば十分です。

カルシウム・魚油サプリ

血圧を下げる効果は小さく、サプリとして積極的には推奨されません。

高血圧を防ぐ生活習慣の組み合わせ

食事だけでなく、次の習慣を組み合わせるほど、予防効果はより強くなります。

  • DASH食の実践
  • BMI25未満の維持
  • 適度な有酸素運動
  • アルコールを控える
  • 鎮痛剤(NSAIDs)の常用を避ける
  • 葉酸摂取を適正に

当院栄養士からのアドバイス

日々の食事で大切にしてほしいこと

  • 食べる量を調整し、塩分・カロリーを適切にする
  • 買い物時に栄養成分表示を確認する習慣をつける
  • 外食時は「汁物を残す」「味の濃い料理を避ける」などの工夫を
  • 果物の量は適度に(特に糖尿病のある方)

まとめ

高血圧の食事療法は、単なる「減塩」だけではありません。
DASH食を基本に、 野菜を増やし、塩分を減らし、体重を適正に保ち、アルコールを控えることで、 薬と同じくらいの効果が期待できます。

今日の食事から少しずつ習慣を変えることが、将来の心臓病・脳卒中を防ぎ、健康につながります。

監修情報

執筆・監修
中澤 幸史  医師(総合内科専門医・家庭医療専門医)
中沢内科胃腸科医院 院長(総合診療科・内科・胃腸科)
所属学会:日本内科学会/日本プライマリ・ケア連合学会

共同執筆・監修:
管理栄養士 安藤 かをり

参考文献

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