睡眠時無呼吸症候群について
当院では睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を行っております。いびきがうるさい、日中に眠気がある、寝ても疲れが取れない、朝方に頭痛がする、午前中に血圧が高い、などの症状でお困りの方は睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
このページでは睡眠時無呼吸症候群の症状と検査について詳しく解説しております。もしご自身が睡眠時無呼吸かもしれないとご不安の方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が断続的に止まったり弱くなったりする病気です。
この「無呼吸」や、あるいは呼吸の頻度が少ない「低呼吸」は、1回のエピソードにつき10秒以上持続するものを病的と判断します。睡眠時無呼吸では、この病的な無呼吸の発作が一晩に何十回、何百回と繰り返されます。
結果として、睡眠中に血液中の酸素の濃度が低下し、脳や身体の組織への酸素の供給が不足します。このため、質の高い睡眠がとれず、翌日の日中に強い眠気や集中力の低下、頭痛、だるさなどが出現します。
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸の症状は睡眠中と日中の両方に現れます。以下に代表的な症状を列挙します。
睡眠中の症状
- 大きないびき
- 呼吸が一時的に止まる
- 窒息感やむせるような覚醒
- 頻繁な寝返りや浅い眠り
日中の症状
- 強い眠気
- 朝起きたときの頭痛や口の乾き
- 慢性的な倦怠感、集中力の低下
- 気分の落ち込み
- 朝方に血圧が高い
睡眠時無呼吸のリスク因子
閉塞性の睡眠時無呼吸には複数のリスク因子が関係しています:
- 肥満(特に首回りの脂肪沈着):BMIが25以上の人で高リスク
- 男性であること:男性は女性より2〜3倍多い
- 加齢:40歳以降で発症率が高くなる
- 解剖学的要因:顎が小さい、扁桃肥大、鼻中隔弯曲がある
- アルコールや睡眠薬の使用:筋緊張を低下させ、上気道閉塞を助長する
- 喫煙:気道の炎症や浮腫を引き起こす
- 家族歴:遺伝的背景が関与することもある
睡眠時無呼吸に合併する病気
睡眠時無呼吸は単独の睡眠障害にとどまらず、多くの生活習慣病や循環器疾患と密接に関連しています。
- 高血圧:特に朝の高血圧や夜間の非降圧型に注意
- 心房細動・不整脈:無呼吸のたびに交感神経が活性化し誘発される
- 心不全:酸素不足と血圧変動が心臓に負担となる
- 2型糖尿病:インスリン抵抗性を悪化させる
- メタボリックシンドローム:肥満、脂質異常症、高血糖と関連する
- 脳卒中:夜間の無呼吸エピソードが脳卒中のリスクを高める
- うつ・不安障害:慢性の眠気や生活への障害によって発症する
- 胃食道逆流症(GERD):腹圧や呼吸努力の影響で悪化する
睡眠時無呼吸の検査
睡眠時無呼吸の診断には、医師の問診の他に質問票が用いられます。下記に紹介されているエプワース眠気尺度は、睡眠時無呼吸のひとつの指標となります。診察の結果とあわせ、無呼吸の疑いのある方にはご自宅で簡易型PSG(ポリソムノグラフィー)検査をお受け頂きます。
エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale)
次の8つの状況で、あなたが「うとうとしてしまう、または眠り込んでしまう可能性がどれくらいあるか」を以下の基準に従って自己評価してください。
評価の目安:
- 0点:決して眠くならない
- 1点:時々眠くなる
- 2点:よく眠くなる
- 3点:ほとんどいつも眠くなる
質問項目 | 0点 | 1点 | 2点 | 3点 |
座って読書しているとき | ||||
テレビを見ているとき | ||||
公共の場(会議、映画館など)で座っているとき | ||||
他人の運転する車に同乗して1時間座っているとき | ||||
午後に横になって休憩しているとき | ||||
座って誰かと話しているとき | ||||
昼食後(酒なし)、静かに座っているとき | ||||
車を運転中、交通渋滞などで数分間止まっているとき |
合計スコアが 10点以上 の場合は、睡眠時無呼吸などの可能性があり、次項目の簡易PSG検査が推奨されます。
簡易型PSG(ポリソムノグラフィー)検査
睡眠時無呼吸の簡易型PSG検査では、睡眠中の呼吸と全身の酸素の状態をご自宅で一晩測定致します。症状から医師が必要と判断しましたら、装置をご自宅へ郵送する手続きを取りますので、ご自宅で装置を装着して検査をお受け頂きます。
簡易PSG検査の流れ
- 日中の眠気・睡眠中のイビキ等の症状を医師に相談
- 検査装置を専門業者からご自宅に発送
- 検査装置に付属されている手順書に従い、測定を実施
- 測定後、検査装置を郵送にてご返却(着払)
- 検査データレポートが作成され、医療機関へ届く
- 外来にて医師より検査結果のご説明
簡易型PSG検査の費用
当院を初めて受診される場合は、診察料・検査料の合計で約4,000円(自己負担3割の場合)となります。
終夜睡眠ポリグラフ検査
簡易PSG検査にて、中等度以上の睡眠時無呼吸が疑われる場合には、より詳しい検査として終夜睡眠ポリグラフ検査を行う場合があります。これは医療機関に一泊して、脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心拍、酸素飽和度などを詳細に記録する検査です。無呼吸の診断において最も正確であり、診断と重症度分類に必要な検査です。
まとめ
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、決して珍しい疾患ではなく、成人男性の約1〜2割、女性でも1割弱が何らかの形で罹患しているといわれています。
しかしながら、その多くは「ただのいびき」として見過ごされ、適切な検査や治療がなされていない現状があります。睡眠時無呼吸は放置すれば高血圧や心疾患、脳血管障害の原因となります。
当院では睡眠時無呼吸の検査・診断からCPAPの導入まで行っております。もしご自身やご家族に睡眠中の異常が疑われるようであれば、当院までお気軽にご相談ください。