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高血圧について

高血圧とは

高血圧は、日本人の約3人に1人が該当するとされる、非常に一般的な疾患です。自覚症状がないまま血管にダメージを与え、脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こすリスクがあるため、“サイレントキラー”とも呼ばれます。しかし、適切に管理すれば重篤な合併症を予防することができます。

このページでは、高血圧の定義や分類、原因、診断、治療法、予防策までを詳しく解説します。高血圧でお困りの方はぜひ一度中沢内科胃腸科医院までご相談下さい。

 

高血圧の定義と分類

血圧とは何か?

血圧とは、心臓が血液を送り出す際に血管にかかる圧力のことです。上の血圧(収縮期血圧)は心臓が収縮して血液を押し出すときの圧力、下の血圧(拡張期血圧)は心臓が拡張して血液を取り込むときの圧力を示します。

高血圧の基準値

日本高血圧学会のガイドラインでは、以下のように分類されています:

分類 診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 125-134 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
高血圧 ≧140 かつ/または ≧90 ≧135 かつ/または ≧85

表にある通り、高血圧の基準は病院で140/90mmHg以上、もしくは自宅で135/85mmHg以上が目安となります。

欧米のガイドライン(ACC/AHA 2017)では130/80 mmHg以上が高血圧とされ、近年ではより厳格な管理が推奨される傾向があります。

高血圧の分類

  • 本態性高血圧:高血圧の90%以上を占め、明確な原因は特定できませんが、加齢、遺伝、生活習慣が関与します。
  • 二次性高血圧:腎疾患、内分泌疾患(原発性アルドステロン症など)、薬剤(NSAIDs、経口避妊薬など)によるものです。

高血圧の症状と合併症

高血圧そのものには通常、自覚症状がありません。しかし長期間にわたり血圧が高い状態が続くと、血管や臓器に大きな負担がかかり、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。

代表的な合併症には以下のようなものがあります:

  • 脳卒中(脳出血、脳梗塞)
  • 心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患
  • 心不全
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 大動脈瘤・解離

初期段階で気づくのが難しいため、定期的な血圧測定と早期の治療介入が極めて重要です。

高血圧の原因と危険因子

高血圧の原因は大きく分けて以下の2つに分類されます。

本態性高血圧(原因が特定できないもの)

  • 加齢(年齢とともに血管が硬くなる)
  • 遺伝的素因
  • 塩分の多い食事
  • 肥満やメタボリックシンドローム
  • 運動不足
  • 飲酒や喫煙
  • ストレス
  • 睡眠不足

二次性高血圧(明確な原因があるもの)

  • 腎実質性疾患(慢性腎炎、腎硬化症など)
  • 腎血管性高血圧
  • 内分泌疾患(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など)
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • 薬剤性高血圧(NSAIDs、経口避妊薬、ステロイドなど)

若年者や急激な高血圧の悪化がある場合には、二次性高血圧を疑い、精密検査を行うことが重要です。

高血圧の診断と検査

高血圧の診断は、診察室での血圧測定だけでなく、自宅での家庭血圧の測定も含めて総合的に判断します。家庭血圧は、朝起床後と夜就寝前に測定し、複数回の平均値を取るのが望ましいとされています。

診察室血圧と家庭血圧

  • 診察室血圧:140/90 mmHg以上で高血圧
  • 家庭血圧:135/85 mmHg以上で高血圧

血管の状態を調べる検査

当院では、血管の硬さや詰まり具合を評価する以下のような検査も行っています:

  • CAVI(心臓足首血管指数):血管の硬さ(動脈硬化)を数値化
  • ABI(足関節上腕血圧比):下肢動脈の狭窄の有無を判定

これらの検査により、動脈硬化の進行度や心血管リスクを早期に把握することができます。

高血圧の治療

生活習慣の改善

高血圧治療の基本は、生活習慣の改善です。薬に頼る前に、あるいは薬物療法と並行して、以下のような対策を行います。

減塩
  • 日本人の食塩摂取量は平均で10g以上とされており、世界的にも多いです。
  • 高血圧患者では1日6g未満が推奨されています。
  • 加工食品、外食、汁物の飲み干しなどに注意が必要です。

体重管理と運動
  • BMI(体格指数)を25未満に保つことが推奨されます。
  • 有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を週3〜5回、30分以上続けることが理想的です。

節酒・禁煙
  • 飲酒は適量を超えると血圧を上昇させます。男性は1日純アルコール20g(日本酒1合、ビール500ml)以内を目安に。
  • 喫煙は血管収縮と動脈硬化を進める要因です。禁煙が強く推奨されます。

食事(DASH食)
  • 野菜・果物・低脂肪乳製品を中心にしたDASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)が効果的です。
  • 食物繊維やカリウムを多く含む食品(バナナ、ほうれん草、豆類など)を積極的に摂取しましょう。

薬物療法

生活習慣の改善のみでは血圧の目標値に到達できない場合、あるいはすでに合併症を有する場合には、薬物療法が必要になります。

主な降圧薬の種類
  • カルシウム拮抗薬(CCB):血管を拡張させる
  • ACE阻害薬 / ARB:腎保護作用があり、糖尿病や腎臓病の患者に有効
  • 利尿薬:体内の余分な水分・塩分を排出
  • β遮断薬:心拍数を抑え心臓への負担を軽減

複数の薬を組み合わせることで、より確実な降圧効果が期待できます。副作用や相互作用にも注意しながら、医師が個別に調整を行います。

よくある質問(Q&A)

Q:血圧が少し高いだけなら放っておいても大丈夫?

A:たとえ軽度の高血圧でも、長期間放置すると合併症のリスクが高まります。早期からの対応が重要です。

Q:家庭で測ると血圧が高くないのに病院では高いのはなぜ?

A:いわゆる「白衣高血圧」で、緊張による一時的な上昇が原因です。家庭血圧も参考にして総合的に判断します。

Q:薬を飲み始めたら一生続けなければならない?

A:生活習慣が大きく改善し、血圧が安定すれば減薬や中止も可能です。ただし自己判断での中断はせずに、外来で医師と相談の上で決めていただく形が望ましいです。

当院の取り組み

当院の高血圧診療

高血圧は無症状で進行する危険な病気ですが、正しく診断し、日常生活に少しの工夫を取り入れることで、大きなリスクを予防することができます。

当院では、血圧測定から診断、脈波検査を含む血管年齢測定と合併症評価、生活習慣指導、必要に応じた薬物治療まで、総合的にサポートしています。

また、患者さんご自身での血圧管理をより継続しやすくするため、スマートフォンの血圧記録アプリ「Welbyマイカルテ」の活用も推奨しています。日々の血圧を簡単に記録・グラフ化でき、医師との情報共有にも役立ちます。 詳しくは 下記のWelbyマイカルテ公式ページ をご覧ください。

Wlebyマイカルテについてはこちら

ご自身の血圧が気になる方や、ご家族に高血圧の方がいらっしゃる方は、中沢内科胃腸科医院までお気軽にご相談ください。

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