メニュー

伝染性単核球症について

伝染性単核球症とは

伝染性単核球症は、EBウイルス(Epstein-Barr virus)に初めて感染した場合に発症し、長引く熱と喉の痛み、リンパ節腫大、倦怠感などを特徴とする若い人に多い病気です。

本ページでは伝染性単核球症について解説していきます。

 

伝染性単核球症の原因

伝染性単核球症の原因はEBウイルス

伝染性単核球症はEBウイルスへの初めての感染で起こります。

EBウイルスは多くの人が保有しているウイルスで、成人では9割以上が既に何らかの経路でEBウイルスに感染しており、抗体を持っています。EBウイルスは小児期に感染しても多くが無症状で経過しますが、感染の機会がないまま10代〜20代で初めて感染した場合に、長引く発熱や咽頭痛などの症状を起こします。

EBウイルスの潜伏期間

EBウイルスの潜伏期は4〜8週間と言われています。

EBウイルスの感染経路

EBウイルスは唾液などの体液を介して感染します。

EBウイルスは初めて感染してから数十年が経過しても咽頭に排出され続けると言われており、既に感染している人と未感染の人とが、食器の共有や、咳の飛沫を浴びる、キスをするなど唾液を介する接触を行うことで、ウイルスが移り感染します。

伝染性単核球症の症状

伝染性単核球症は、発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹、倦怠感などが主な症状です。また筋肉痛、関節痛、頭痛、脾腫なども伴うことがあります。

発熱

平均して10日から2週間ほど発熱が続き、自然に解熱します。

リンパ節腫脹

典型的には両側の首の後ろあたりのリンパ節が腫れて痛みを伴います。また首の前側や、顎の下、脇の下や鼠径部などのリンパ節が腫れることもあります。発症から1週間ほどは腫れが続き、2〜3週間ほどで徐々に改善します。

咽頭痛

咽頭の炎症により痛みと喉の腫れが起こります。ときに扁桃腺が腫大し、表面に白苔という膿が付着することがあります。

脾腫

脾臓が腫れる脾腫という状態が50%程度にみられます。大きく腫れると左の側胸部が痛むことがあります。腫れた脾臓は超音波検査で確認ができます。外からの強い刺激で脾臓が破裂するケースもあるため、コンタクトスポーツなどは避け、罹病期間中は安静にしていることが望ましいです。

皮疹

伝染性単核球症に罹患している最中に特定の種類の抗生物質を内服すると、全身に皮疹が広がることがあるので、抗生物質の内服には注意が必要です。

伝染性単核球症の検査

血液検査では肝機能の異常と、異型リンパ球というリンパ球の一種が認められます。伝染性単核球症の診断のためには、EBウイルスに対する抗体検査が必要です。

肝機能障害

ASTやALTといった肝機能の数値の上昇がほとんどのケースで認められます。これらは時間の経過とともに自然に改善します。

異型リンパ球

血液検査で白血球の中のリンパ球の数値が上昇し、さらに異型リンパ球と呼ばれる特殊なリンパ球が同定されることがあります。

EBウイルス抗体の測定

いくつかのEBウイルスの抗体を組み合わせて、初感染なのかどうかの判断を行います。EBV VCA IgG抗体、EBV VCA IgM抗体、EBNA IgG抗体などを測定します。

またHIVの初感染や、サイトメガロウイルスの感染なども、伝染性単核球性と似たような症状を呈することがありますので、必要に応じてこれらの抗体検査を追加で行います。

 

医師からのワンポイント解説

実際の現場では、伝染性単核球症は1週間ほど熱が続き原因がわからないという症状で受診される方がほとんとです。喉の痛みやリンパ節の腫れだけでは確定的な診断ができませんので、血液検査で特徴的な肝障害やリンパ球の上昇、EBウイルスの抗体を確認する必要があります。そのため原因不明の発熱が1週間程度続く場合は血液検査をお勧めしております。

伝染性単核球症の治療

急性期の症状は1〜2週間で自然に改善するため、熱や喉の痛みなどに対して解熱剤などを内服する対症療法が中心となります。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME