感染性胃腸炎について
感染性胃腸炎とは
感染性胃腸炎は、突然の下痢や嘔吐、発熱などを引き起こす、非常に一般的な病気です。冬から春にかけて多く見られ、特にノロウイルスによる集団感染は毎年のように話題になります。レストランや施設、学校、職場など、集団での生活環境では感染が拡大しやすいため、注意が必要です。
このページでは、成人の感染性胃腸炎の原因や症状、診断の考え方、治療、そして予防のポイントについて、わかりやすく解説します。
感染性胃腸炎の原因
感染性胃腸炎のほとんどはウイルスが原因です。なかでも最も多いのがノロウイルスで、嘔吐や下痢を中心とした強い症状を引き起こします。
そのほかにも以下のようなウイルスが知られています。
- ロタウイルス
- アデノウイルス
- アストロウイルス
また、ウイルス以外にも以下のような細菌や寄生虫も原因になります。
- 細菌:カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌、赤痢菌など
- 寄生虫:ジアルジア、クリプトスポリジウムなど
感染性胃腸炎の症状
感染性胃腸炎は、以下のような症状がある日から急に始まります。
- 下痢(軟便〜水様便)
- 吐き気、嘔吐
- 腹痛
- 発熱(37℃台〜40℃前後まで様々)
- 倦怠感
上記のような特徴的な症状が同時に全て認められる場合は胃腸炎の可能性が高いと考えられます。一方で、熱と腹痛のみで下痢や嘔吐はみられないケースなど、1〜2個の症状しか認めない場合には、虫垂炎や憩室炎など、他の病気が原因の可能性があるため、慎重に判断する必要があります。
注意すべき症状
以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 65歳以上や基礎疾患のある方
- 睡眠に支障が出るほど強い腹痛
- 血便や粘液まじりの便
- 脱水症状(口の渇き、尿が少ない、ふらつきなど)
診断のポイントと検査について
ほとんどの感染性胃腸炎は、問診と診察だけで診断が可能です。特別な検査は通常不要ですが、以下のようなケースでは便の細菌培養検査などを行う場合があります。
- 発熱が続く
- 血便や膿が混じる
- 症状が1週間以上続く
- 体調が著しく悪い
また、食品関連の仕事に従事されている場合に職場からノロウイルスなどの検査を指示される場合があります。
感染性胃腸炎の治療
治療の基本は「水分補給」
感染性胃腸炎の多くは自然に治るため、特別な薬がなくても大丈夫です。治療の基本は「水分と栄養の補給」です。
- 経口補水液やスポーツドリンクで水分補給
- おかゆ、うどん、スープなど無理のない食事
- 少量ずつ分けて摂取すると吐き気が和らぎます
※当院では点滴等の処置は行っておりませんのでご了承下さい。
胃腸炎の際におすすめの食事
胃腸炎の際には食物繊維や脂肪が少ない食材を柔らかく調理したものがおすすめです。用意が簡便なものとして、おかゆ、うどん、りんご、バナナ、ヨーグルトなどが挙げられます。調理に油を多く使っていたり、香辛料を含むものは避けるようにしましょう。
実際の食事例
穀類:おかゆ、煮込みうどん
魚介類:白身魚を使った煮魚、蒸し魚、鍋
肉類:脂の少ない肉類(ささみ、赤身肉)、つくね
卵・大豆製品:卵豆腐、茶碗蒸し、豆腐、ひきわり納豆
乳製品:牛乳、ヨーグルト、ポタージュ、プリン
野菜・いも類・果物:繊維の少ない野菜(ほうれん草・白菜等)・南瓜・じゃがいも・バナナ・りんご
補助的な薬の使用
- 制吐剤: 吐き気を抑えます
- 整腸剤: 腸内環境の補助に
- 解熱剤: 熱や倦怠感の軽減
※ウイルス性胃腸炎には抗生物質は効果がありませんので使用しません。また下痢止めも原則として使用しません。
感染を広げないために
- 石けんと流水での手洗いの徹底
- トイレ後・調理前の手洗い
- 吐物や便の処理は手袋・マスクを使用し、塩素系消毒剤で処理
- 症状回復後も48時間は調理を控える
- タオルや食器の共用を避ける
まとめ
- 感染性胃腸炎の原因はウイルスや細菌感染
- 基本的な治療は水分と栄養の補給
- 必要に応じて吐き気止めや整腸剤を使用
- 予防には手洗いと衛生管理が重要
胃腸炎を疑う症状でお困りの方は、お気軽に中沢内科胃腸科医院までご相談ください。